「和の思想」と東北

◎お薦め本 長谷川櫂『和の思想─異質のものをなごやかに調和させる力』
「和とは本来、さまざまな異質のものをなごやかに調和させる力である」
明治維新後の近代化の時代、「偏狭な和」が生まれた。
“熱狂的なナショナリズムの仮面をはぎとると、そこには自信を喪失した人びとの不安な顔がある”

和の思想―異質のものを共存させる力 (中公新書)

和の思想―異質のものを共存させる力 (中公新書)

「和」というと、聖徳太子の「和を以て貴しとなす」(十七条憲法)を思い出してしまうのだが、この本にはでてこない。
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日本人の肌を「しみ」と評する谷崎潤一郎『陰翳礼賛』の感覚はいかにして生まれたか。
俳人 長谷川櫂の探求が始まる
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贔屓の伊豆山 旅館 「蓬莱」から
http://www.ikyu.com/Datas/00000833x.htm
小堀遠州隈研吾の世界
小堀遠州―「綺麗さび」のこころ (別冊太陽 日本のこころ 160)

小堀遠州―「綺麗さび」のこころ (別冊太陽 日本のこころ 160)

松岡正剛隈研吾
 http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya1107.html 
そして、「和を積極的に生み出すことを「取り合わせ」と呼んできた。」
 閑さや 岩にしみ入蝉の声 (芭蕉)
は「現実と心の取り合わせ」である。
・古池に蛙は飛び込んだか(アサヒコム)
http://book.asahi.com/author/TKY200507190359.html
「奥の細道」をよむ (ちくま新書)

「奥の細道」をよむ (ちくま新書)

洋服の配色の原則とは全く異なる「さまざまな色が人びとの衣装や道具に躍動している」
彦根屏風(竹友社HP)
http://www.chikuyusha.jp/syakuhatisyouki/55Hikoneboubu/5SenKaodakekudai.html
間の文化
福島光加“生け花は花によって空間を生かそうとするのです”
・「驚きももの記」
http://flokoka-kokakoka.blogspot.com/
松林図屏風

松林図屏風

「和歌の周囲に広々と現れる豊かな余白、つまり間である」
小野道風の書(ウィキペディア)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Gyokusen_jo_ONO_MICHIKAZE.JPG
「桜といえば山桜のことだった。(中略)柔和で優美なものの象徴だった」
  しきしまの やまとごころを人とはば 朝日ににほふ山桜ばな (本居宣長)
「中国やアメリカと戦うために国はなごやかな大和心に猛々しい大和魂をダブらせ(中略)この歌を読み替えた。こうして、桜も宣長も戦争に奉仕させられた。」

夏をむねとすべし(吉田兼好徒然草』)
http://www.asahi.com/housing/amano/TKY200506120157.html
さて、なぜ、和の力が日本に生まれたか? 長谷川氏の結論を要約すると三つある。
1 この国が緑の野山と青い海原のほか何もない、いわば空白の島国だったこと。
・日月山水図屏風(金剛寺 サントリー美術館HP)
http://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/07vol03biombo/program.html
2 さまざまな人と文化が渡来したこと。
3 島国の夏は異様に蒸し暑く、人びとはこれを嫌い、涼しさを好む感覚を身につけたこと。
「こうして、日本人は物と物、人と人、さらに神と神のあいだに(ま)をとることを覚え(中略)
長谷川等伯「松林図屏風」
http://www.tnm.jp/jp/servlet/Con?&pageId=E16&processId=01&col_id=A10471&img_id=C0028016.X1&ref=&Q1=&Q2=&Q3=&Q4=&Q5=&F1=&F2=
異質のものを共存させる和の力を生み出していった。(中略)この間を作り出すため切るという方法がとられる」
この本自体がまさに氏の理解した日本文化本来の「和」の特質を体現した好著である。
・再び長谷川氏ご贔屓の伊豆山「蓬莱」
http://www.izusan-horai.com/

               (岩手県 早池峰山の夏)
もっとも‘涼しげ’大好きの俳人の故か「日本の蒸し暑い夏」にこだわりすぎの感もある。
国民的俳句百選

国民的俳句百選

筆者の住む東北地方の特質は、短い蒸し暑さの夏以外は、酷寒と雪に埋もれた長い期間がある。
長い寒さの日々の中、修験の神仏の力をたよりに生き抜いて、短い夏に山の神や鬼や獅子となって舞う「早池峰神楽」や精進潔斎して臨む厳寒の正月の「大日堂舞楽」などに東北文化のエネルギーの高みを見出す。そして南島も並立させた「いくつもの日本」を見据え、四季の移ろいを見据えてこそ、真の「和の思想」と思うからである。

               (みちのく修験のリズム   早池峰岳神楽 2005年)

早池峰の思い出
http://d.hatena.ne.jp/kanjisin/20060803
大日堂舞楽(秋田県鹿角市)

 薬師岳・五の宮岳を仰ぎ

 大日霊に化身し魂振る
http://d.hatena.ne.jp/tenti/20090103

              (鳩山由紀夫の朝 0908310700)
鳩山由紀夫wiki
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%B3%A9%E5%B1%B1%E7%94%B1%E7%B4%80%E5%A4%AB