鳴瀬川流域の板碑


古川(大崎市)にて名高い板碑に出会えた。

真中の日陰の小板碑は実は

線刻阿弥陀像板碑 正和三(1290)年、井内石製。
「右志為相當忘子五七■ 過去聖霊出離 生死証大菩提也」

頭部に二条線が刻まれた東北地方では極めて珍しい関東系の阿弥陀三尊板碑! 弘安二(1279)年 井内石製

“極重悪人には他に方便無し。ただ念仏をとなえれば 極楽に生じることを得ん”(加藤政久『石仏偈頌辞典』)
「右志者為過去聖霊出離 生死往生極楽証大菩提也」
どんな悪人でも 念仏をとなえれば、極楽往生できるというあり難い教え。浄土宗系か

梵字カーンク?がみごと。正和五(1316)年。安山岩製としては1.6mの高さはトップクラスか。
「一切衆生 悉有仏性 如来常住 無有変異」
“一切の生きとし生きるものには ことごとく仏性あり”という これも有難い教え
天台浄土教系なのかな。加藤政久氏の『石仏偈頌辞典』によれば大般涅槃経より。
字はよく見えなかったが『古川の板碑』によれば「往生極楽証大菩提 提所造立塔婆也」とこの板碑が塔婆であることが明記されている。

鎌倉時代、人々やさまざまなものを運んだと思われる鳴瀬川
これらの尋常でない板碑の集中から、付近に中世寺院の存在や南北幹線道路と節点である可能性があるのでは。